【比較】上場企業とベンチャー企業に勤務して感じたこと

【比較】上場企業とベンチャー企業に勤務して感じたこと

Web制作会社でWebディレクターとして働いているaoと申します。

過去に一部上場の大手企業、その後にベンチャー企業で勤めたことがあり、その際に感じたことなどを比較してご紹介します。

少しでも将来の企業選択や、転職時の参考となれば幸いです。

上場企業での勤務を通して感じたこと

上場企業での勤務を通して感じたこと

大学には進学せず高校卒業後に直ぐ就職をしました。就職先は、ご縁があり業界シェア国内一位のメーカーに勤めていました。

国内・海外ともに多くの支社があり社員数も数十万人に上る大企業でした。

そこに勤めている際に感じたことは以下の通りです。

終身雇用の実現

昨今は死語になりつつある「終身雇用」を維持しており、早期退職の募集や解雇なども基本的に実施せず、一度雇用したら最後まで社員を面倒見てくれるような懐の広い企業で、安定した人生設計を考える上では非常に魅力的な会社だったと思います。

また、高校生の頃に教師から言われた言葉で印象的だったのが「この会社が倒産したら日本経済が崩壊することを意味する」でした。それだけ日本・世界の経済に深く入り込んでいる企業でした。

この会社は今でもトップシェアを維持していますが、十数年前は経営不振に陥ることが想像できないような大企業が社員を大量に解雇したり早期退職を募るなど、社会情勢は日々変化しています。

副業が禁止され、もし転職しようと考えたときに他社で通じるスキルや経験を培うことが難しい働き方、会社に依存する働き方はリスクが大きいと当時強く感じた経験が、現在のWeb業界を選択した理由の一因になりました。

年功序列

年功序列の会社で、一年ごとに少しずつ昇給がありました。一定年数勤務をすると昇格試験をうけて給与のベースがアップする制度があり、イメージとしては公務員に近いのではないかと思います。

個人的に、年功序列が一番肌に合わないポイントでした。

私は仕事に熱中しやすいタイプで、仕事で成果を出すために努力をすることが好きな人間だったため、評価を給与に反映してほしい気持ちが同期よりも強かったと感じています。

ただし、大企業では給与・賞与の査定が画一的に行われ、金額の差はほとんど有りませんでした。

もちろん大企業でも会社によっては評価制度が異なるため、給与に反映されることはあると思いますが、大手自動車メーカーや農耕器具メーカー、鉄道会社に勤務している友人たちの話を聞いても近い経験談をよく聞いていたため、古くからある企業に関しては似たり寄ったりなのではないかと感じています。

学歴による壁

社員には様々な等級が有り、昇格により給与が上がっていく制度でした。非常に悲しかったのが、高卒の社員の中でも出世していたといわれる勤続30年の方と、大卒で勤続10年の方では等級や給与がほとんど変わらないという事実でした。

この企業に勤めることができる大卒の方々は有名大学出身の方ばかりなので、もちろん学生時代の努力が素晴らしく、狭き門をくぐってこられたのだと思います。

ただし、家庭の事情で大学に行けなかった人たちもいて、仕事で努力を重ねたとしても画一的な評価制度のせいで、どれだけ仕事ができて成果を残しても越えられない壁が存在することを目の当たりにしました。

一人一人の努力や才能を見出して学歴を問わずに要職へ采配するということの重要性や、それができる公平性は、一朝一夕で変わることが無い企業文化なのだと感じました。

福利厚生

大企業に勤めていた際に一番良かったポイントでした。

残業時間の規制、有休を積極的に消化する風潮など、ワークライフバランスを考える際の根本的な部分はもちろんクリアしていました。

それだけでなく、有名企業のため社員というだけで社会的信用も高くローンも組み放題で20歳で一軒家を購入する同期もいました。

住宅を購入しない人たちも独身寮や社宅があり、近隣家賃相場の5~6分の1くらいの金額で住むことができました。

また、充実した保険や労働組合による給与交渉、さらには自動車購入時の優遇など、福利厚生は上げたらキリがないほど多々ありました。

ベンチャー企業での勤務を通じて感じたこと

ベンチャー企業での勤務を通じて感じたこと

大企業に勤めた後、社員数が十数名の創業間もないITベンチャー企業に勤めました。前職とは異業種だったこともありインターンシップから、アルバイト雇用に変わり、数か月後に正社員で雇用していただきました。

そこに勤めている際に感じたことは以下の通りです。

企業経営、存続の難しさ

大企業に勤めていたころは考えたこともなかった「利益率」「今月必要な売上」など、企業を存続するために必要な数字を意識することを学びました。

インターンシップ、アルバイトの頃は数字を意識するポジションにおりませんでしたが、それでも経営陣と営業メンバーで行われる会議の緊張感は刺激を受けました。正社員として働き始めてからは、営業メンバーとして働き始めたため売上やコスト、利益率などを日々考えながら対策を講じていました。

関連会社と合同で営業成績の表彰が行われるイベントがあり、表彰されるくらい目標を上回る月もありましたが、目標未達の月は寝る間も惜しんで数字を追いかけ続けなければいけない辛さがありました。

本来、平社員が感じる必要が無いことなのかもしれませんが、小規模な組織では社員一人一人が会社に与える影響が大きく、また、制度が整っていないベンチャーでは特に個人が考えて動くことができないと組織として機能できなくなってしまうため、経営者が何を考えているのか、それを体現するためには何をするべきかを日々考えて行動していたため、マインドとしては経営者に近いところにあったのだと感じます。

環境変化、成長速度

市場にこれまで存在しなかったサービスを提供し、認知・拡大させることでシェアを獲得させようと必死になっていたため、市場を理解するために日々研究をしていましたが、IT業界は目まぐるしく環境が変化していくことを肌で感じました。

大手企業の資本が入った新たなサービスが続々と出現し、資金力があるため大がかりなシステム導入や広告宣伝による認知拡大など、敵として戦うには心が折れそうになる出来事が沢山ありました。他社と比較して自社のサービスは何が勝っているのかを論理的に説明できなければ成約を取ることができなかったため、それらと戦うための対策を考えたり、研究し行動を繰り返す日々でした。

生活の大部分を仕事に費やしていたため、大企業に勤めていたころと比較にならないほど自身が毎日成長している感覚がありましたが、生活を顧みる時間がなかったため一人暮らしだったからこそできた働き方だなと感じています。

実力主義

学歴も人間性も関係なく、結果がすべての世界でした。

結果が出ない時は自分には存在価値が無いんじゃないか、と感じるくらいの雰囲気があり心が折れそうになりましたが、努力が成果となり給与として評価されたとき、大企業に勤めていたころには感じたことが無いくらい満たされた充実感がありました。

海外の有名大学や企業に勤めていた外国人メンバーとともに仕事をしたり、部下に迎えて一緒に仕事をしたりすることは、大企業に高卒で勤めていたころは想像もできない経験でした。

社会的信用

はじめの数年は異業種からの転職で、結果もなかなかでなかったため給与が下がり、会社自体も創業間もなくで利益が大きくはなかったため賞与もほとんどなく、生活的にも余裕が有りませんでした。

引っ越しなどは問題ありませんでしたが、ローンを組んで住宅を購入する人は同僚にもほとんどいませんでした。ただし、これは自分が在籍していた会社における話のため、ベンチャー企業でも大手企業の資本が投入されていたり、黒字が継続していれば審査などは問題ないと思います。

まとめ

まとめ

大企業で安定した暮らしの反面で歯ごたえが無い日々を過ごし、ベンチャー企業で主力となり会社を回すことの楽しさと苦労を体験しました。

私の場合は、実際に体験してみなければ判断できない人間だったため、紆余曲折ありましたがベンチャー企業を経て、100名弱の規模の会社に転職しました。

学歴は問わず実力主義で給与や裁量権を与えられる会社で、自分自身が求めていることと合致しているため、今はとても満足した働き方ができています。

自分の中で大事なことが見えてくれば、どのような会社が自分に合うのか判断できるようになると思います。

最近では大手企業でも副業可に変わっていたり、リモートワークを導入していたり、実力主義・成果主義の会社も増えてきている印象があります。また、ベンチャー企業でも企業理念によりワークライフバランスを重視している企業もありますので、私の体験を参考にしつつ転職時に重視するポイントをご検討されてはいかがでしょう。